<cast-159> And the storm came over
嵐がやってくるとラジオは告げていた。
遠軽から毎週水曜にはこの地に通うと教えてくれた御仁は、或る言葉を残して去っていった。
午前中は数もサイズも凄かったんですよ・・・と。
この日の釣果は・・・、旧知の友から半年の間の労いの言葉。
嵐がやってくると友は告げていた。
2日目の朝も、見事なまでに何も起きなかった。
昼過ぎに撤収するころには雨脚が強くなり始め、明日からの計画を危ぶむほどだった。
この日の釣果は・・・、英国の魔法使いの「物語」と吉田修一の「悪人」。
嵐はやってくると覚悟は出来ていた。
アスファルトは乾いているのに、晴れ間だって覗いているのに、
土色をした重たい流れは、どの釣り人をも近づけることをしなかった。
その濁々と流れる困惑の流れは、己の内へ奥へと問うには決して飽きさせずに十分な
空間と時間を用意していてくれた。
半年の成果は・・・、
くすぶり始めた大志をこのまま眠らせる訳にはいかないと気づかせてくれたこと。